いにしえより大神神社のご神体である、奈良三輪山は神宿る山と言われてきました。
現在ではパワースポットとして注目され多くの方が参拝されています。以前、当ブログにおいても不思議なことが起こったことを書きましたが、今回は、まだ現在のようにパワースポットとして注目をされる以前の三輪山の話をしたいと思います。
奈良三輪山は江戸時代まで禁足地でした。それが明治時代になり登拝が許され、現在では誰しもが登れるようになりました。
ただ現在でも安全上の理由から登拝の時間が決められており、入山管理や登拝のルートが神社によってしっかりされていますが、戦後間もないころは現在では許されていない夜の登拝や自由なルートで登拝が許されていました。
このような戦後間もない自由な登拝が出来ていたころ、先代も山岳修行の目的でたびたび三輪山に登拝していました。そして、時間帯も今では許されない夜間に行うことがありました。
山中で迷う
さて、ある日の夜、先代が先頭に立ち何人かで三輪山で夜間の修行を行いました。
山中を駆け巡り、さて下山しようとして進んでいたところ、いつのまにかルートを見失って山中で迷ってしまいました。あたりは真っ暗でどっちに行ったら良いかさっぱり分かりません。
「これは困った、下手したらみんなで遭難して死んでしまうぞ」
ということでみんなでオロオロしていると、突然、森のなかから一匹の白い犬が現れました。
その犬は、先頭に立ち、こちらを向いています。そして、ちょっと歩きながら、またこちらを振り向いて見ています。
それを見た誰かが
「あれは神様のお使いではないんですか!?」
と言いました。先代は
「確かにあれは神犬や、案内に出てこられたんや。みんなあれについていこ!!」
と言い、みんなで白い犬の後を追っていくことにしました。
その白い犬は、ちょっと先にいってはこちらを向き、またちょっと先に行ってはこちらを向いて待つということを繰り返し、集団を率いていきました。
無事下山
そして、夜の真っ暗な山道をずっと歩いていくと、街の灯りが見えて無事に下山することができました。そして白い犬はいつのまにかいなくなっていました。
初代はあらためて霊験あらたかな三輪山に感じ入ったとのことでした。