「わしがこの山の神々の長じゃ」
そして、
「お前についている大いなる神を迎えるために大山の全ての神々と眷属が迎えにあがった」
と山の頂上に鎮座ししている立派な神様は申されました。
神様に怒られるお調子者の狐たち
そうしてしばらく経つと、先代先生の周りに、たくさんの眷属の狐達がぴょんぴょんと跳ね回りながら現れ、ガヤガヤと騒ぎ始めました。
大変うるさいので、何の話をしているのだろうと先代先生がその狐たちの会話に耳を傾けてみると、きつね達がこう言っているのが聞こえてきました。
「誰だ誰だ?誰が来たんだ!?」
「ふーん、大山の神様が総出でお迎えにあがるから、どんな人間がくるのかなと思って皆で来てみたけど、ただの人間だねぇ」
そして別の狐はこう言っていました。
「あーあ、せっかく来たのに損したなぁ」
初代はそれを聞いて、おやおや、何と口の悪いお喋りな狐達なのだろうと思いました。
そう思っていた矢先、きつね達の悪口を近くで聞いていた蛇の姿をした衣冠姿の神様がその狐達に向かって、
「静かにせい!この物見高いきつねどもめが!!」
と一喝してお叱りになられました。
神様に突然厳しく叱られたきつね達は驚き、シュンとなりながらおとなしくなりました。
それを眺めていた先代先生は、お調子者のきつねが叱られおったわとクスクス笑ったとのことです。
大神山神社の参拝を終えて帰ってきた大先生は、先代先生からこの話を聞いて童話に勝るとも劣らない世にも不思議な話があるものだと思い、目に見えない奥深い神の世界にただただ感服しました。