霊峰大山の神様(2)
霊峰大山の神々と狐たち
大山の山の頂に腰を下ろした神様は
「わしがこの山の神々の長じゃ」
とおっしゃられ、
「お前についている大いなる神を迎えるために大山の全ての神々と眷属が迎えにあがった」
と申されたそうです。
そうしてしばらく経つと、先代の周りに、たくさんの狐達がぴょんぴょんと跳ね回りながら現れ、ガヤガヤと騒ぎ始めました。
大山の神々様の眷属たちでした。
その狐たちが大変うるさいので、何の話をしているのだろうと先代先生がその狐たちの会話に耳を傾けてみると、きつね達がこう言っているのが聞こえてきました。
「誰だ誰だ?誰が来たんだ!?」
「ふーん、大山の神様が総出でお迎えにあがるから、どんな人間がくるのかなと思って皆で来てみたけど、ただの人間だねぇ」
そして別の狐はこう言っていました。
「あーあ、せっかくここまで来たのに損したなぁ」
初代はそれを聞いて、おやおや、何と口の悪いお喋りな狐達なのだろうと思いました。
叱責される狐と奥深い神様の世界
そう思った矢先、狐たちの悪口を近くで聞いていた衣冠姿の神様がその狐達に向かって、
「静かにせい!この物見高いきつねどもめが!!」
と一喝してお叱りになられました。
神様に突然厳しく叱られたきつね達は驚き、シュンとなりながらおとなしくなったそうです。
それを眺めていた先は、お調子者のきつねが叱られおったわとクスクス笑ったとのことです。
先代からこの話を聞いた私たちは、童話に勝るとも劣らない不思議な話があるものだと思い、
目に見えない奥深い神の世界にただただ感服しました。