霊峰大山の神様(1)
霊峰大山・大神山神社参拝
先代がまだ存命だった10年以上も前の話です。
先代と私たちは山陰地方の霊峰大山の大神山神社に参拝に参りました。
大山は修験道で有名な霊峰で、いまでも修験道者が修行した痕跡が各所に残されています。大山の麓に到着すると、もうすでに初冬で雪がチラついていて人はいませんでした。
先代と私たちは車を降り、大山の麓の大神山神社に参拝するため、誰もいない参道を歩いていくことにしました。
先代はすでに高齢であったため、参道の茶屋の前に置いてあるベンチで休むことにして、私たちだけで参拝することになり、先代は茶屋のベンチでボーっとしていました。
神様のお出迎え
先代が茶屋の前のベンチに腰掛けてしばらくすると、何やら気配を感じたそうです。
ふと先代が目を上げると大神山神社の参道に沿って、蛇の姿に衣冠(平安時代の貴族装束)を着衣された神様が笏を持ってぞろぞろと出で立ち始めました。
「おや、何事かでも始まるのかな?」
と思った先代はそのまま見ていることにしました。
数え切れないほどの神様が出て来た後、その神様たちは貴賓を迎えるかの如く道の両側に向き合って並び始め、神様の列はついに大山の頂上まで至りました。そして、それらの神様が着衣されている服の色や冠の形はそれぞれに違っていて、神様の位が一目ですぐに分かるようになっていたそうです。
そして無数の神様が整然と山の頂上まで並び終わった後、ひときわ巨大で立派な蛇の神様がとぐろを巻いて山の頂上に鎮座されました。
その立派な神様は山の頂からベンチに座る初代に向かってこう述べられたそうです。
②に続く